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職人が残せるもの

 

  職人が残せるもの

 

世の中には、いわゆる成功者とか勝ち組とか

言われる一握りの人がいます。

 

そうした人たちは、大きなビジネスを展開し、

巨額の富を得ています。

 

確かに、僕たちとは住んでいる世界は違うのかも

しれません。

 

でも、こんな考え方もできるのはないでしょうか。

 

高級ブランドのスーツに身を包み、一流レストランで

商談しながら、ビジネスを展開する彼らの世界は、

その業界、その組織、その時代、その流行の流れに

乗っているから成り立っているとも言えます。

 

でも、そのビジネスモデルが100年後に通用することは

おそらくないでしょう。

 

彼らは、お金と名声を残せるかもしれませんが、

それらはすべて過去のものになります。

 

一方で、汗とほこりにまみれて仕事をする職人さんは

どうでしょうか?

 

若い人から見ると敬遠されるのかもしれません。

 

必死になって働いても巨額の富なんて残せないのかも

しれません。

 

でも、その過程で身につけた経験、技術、技という

ものは、その業界のみならず、日本中で、いや世界中

でも通用しうるものです。

 

100年前には、化粧合板もセパも箱金もありませんでした。

 

その時代では、杉板を当てた型枠に手練りの生コンを

詰め込んで構造物をつくっていました。

 

当時の職人さんたちは、明文化された管理基準は

無くても、その日の気温や湿度、骨材の乾き具合を

感覚で読み取ってつくっていました。

 

そして、その構造物は100年以上たった今も重要な

社会資本として世の中を支えています。

 

今では、便利な道具が開発され、生コンも高度な

品質管理が行われ、誰がやっても一定の品質が

確保できるようになりました。

 

技術も進歩し続けており、その進歩とともに、

技術の継承がなされてきました。

 

つまり、職人さんたちは、100年後にも通用する

技術や技を残すことができるのです。

 

そう考えると、職人さんの仕事は、とても偉大です。

 

ビジネスマンや経営者は、組織があってこそ成果が

出せますが、職人さんの仕事は、腕一本で世界中で

勝負できるのです。

 

そしてその技がこの先、連綿と続いていくのです。

 

この国で、この時代に生きた証として残るのです。